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日本の寄付文化とクラウドファンディングの盛り上がりに思うこと 【第一回】

この一週間で。クラウドファンディングについて人と話すことが何度かあったので、頭の整理がてらクラウドファンディングとその周辺事情を個人的に収集した情報をもとにまとめてみます。
ざっくりではあるけど、ここで言いたい全体像は“ケチな日本人とクラウドファンディングは、実は好相性なのでは?”という内容です。

では、以下つらつらと書いていきます。
※記事が長文になりましたので二回に分けてお送りします。

 

日本の寄付金の実態

いつだったか、ほぼ日で「どうして投資をするんだろう」と題したレオス・キャピタルワークス株式会社藤野英人氏と糸井重里氏の対談記事を読みました。
「たんす預金を投資に回そう」という投資の奨励とか分散投資の合理性なんかを、ほぼ日ならではの読者目線で紐解いていくのかなと思って、なんとなしに目を通し始めたんだけど、かなりショッキングな記述があったんです。
それは日本人のお金に対する保守的な嗜好というか、過保護ぶりというか、ある種の利己的な一面すら感じられてしまう程の事実でした。

抜粋は東日本大震災における日本人の寄付について言及したものです。

あれほどの震災が起こったのに、例年の2倍しか寄付しないのが日本人なんです。しかも、次の年からは例年通りの額に戻りました。そもそも、日本人は寄付するのもだいたい、ひとりあたり2500円くらいと少額なんですよ。もし、個人の金融資産の1%を寄付していたら、寄付金は14兆円くらいになります。でも、実際には数千億円に留まりました。日本の場合は、3人に1人が寄付をしている。つまり、3人に2人は、年間ゼロ円なんですね。年間の平均が2500円なので、計算上、3人に1人が7500円の寄付をしていることになります。ですので、日本人の中には年間7500円を寄付をしている3人に1人の人間と、まったく寄付をしない3人に2人の人間がいる(藤野氏談)

確か阪神大震災が起こったのはボクが中二の頃。その時はことの事態が飲み込めず、かと言って自分に何ができるのか・すべきなのかも分からず、今その時を振り返ると当時のその状況をもの凄く歯がゆく感じていたと思います。中二のボクにできたのは、親に手渡された寄付金を募金したことくらいでした。
この震災の強烈なイメージは、今を生きる日本の誰もが共有するものだと思っていたし、東日本大震災ではその時の経験や反省が存分に活かされるだろうと確信すらしていたけど、残念ながらそれが寄付という形で表れることはなかったようです。

正直に告白すれば、ボクも翌年以降に募金はしませんでした。募金をしたのは震災が起こった年に、ap bankを通して寄付した1万円のみです。それはなぜか。嘘か真か、赤十字を始めとする寄付金が集まる場所には使い道を考えあぐねる程にお金が集まっている、などという情報を耳にし、献血したりWebサービスで貯めたポイントを植林に使うという方法に行動をシフトしたからです。
きっと日本中から寄付金が集まってるんだろうなー、貯蓄好きの日本人がみんな寄付するんだからトンデモない額が集まるんだろうなー、ってこの時は思っていました。でも実際は違いました。

じゃあ諸外国の場合ってどうなのさ?

そういう事実とは別に、対談では比較対象としてアメリカの寄付文化について触れられていて、その圧倒的なスケール感はもうカルチャーショック以外のなにものでもありませんでした。

アメリカはどうかというと、1人あたりの年間平均は13万5000円です。月に1万以上、どこかに寄付してるんですね。かつ、寄付をしてる割合は、3人中2人です。アメリカ人も3人中1人は寄付をしません。この話をすると、よく言われるのは、寄付をすると税控除があるから、お金持ちが税金対策で寄付するんだろう、と。たしかにそういうこともなくはないのですが、実は、年収が低くなれば低くなるほど、世帯収入に占める寄付の比率って上がっていくんですよ。額は小さいかもしれないけれども、率は高い。年収200万円とか100万円弱の人であっても、給料の5%ぐらいは寄付をしているんです(藤野氏談)

これもちろんアメリカは「お金を持っている人が、貧しい人に分け与えるべきである」というキリスト教と生活の結び付きが強固というのも要因としては大きく、寄付は決して特別なこととされていません。
文化的背景に支えられるアメリカに対し、日本の寄付文化のなんと貧弱なことでしょう。

※コラム「どうして投資をするんだろう」の全文はコチラから

 

ドケチな日本人と、クラウドファンディングの親和性

ここまでは、自身の抱えるお金をいかに手放したくないかという日本人のケチな一面を書いてきました。一方で、人道支援や新しいアイディア・プロダクトの開発などに対する、応援や共感の気持ちを届ける方法として寄付をするという潮流が生まれています。クラウドファンディングです。
たくさんの人にリーチし小額から寄与を集められるというインターネットの利点、そして、SNSによる情報拡散が容易になったこともあって、クラウドファンディングの本場・アメリカで有名なKickstarterでは支援額1000万ドルを超えるプロジェクトが生まれるなど、同サービスを利用した資金調達が活発になりつつあります。
今では、クラウドファンディング関連のニュースを見ない週はありませんよね。
日本でもREADYFOR?CAMPFIREなど、ビッグプロジェクトを成功させるクラウドファンディングの取り組みを目にすることがだんだん増えてきました。
中でもCAMPFIRE は、被災者やベンチャー企業の支援だけではなく、アートやポップカルチャーに携わるクリエイターの支援にも注力する企業として同業の中でも異彩を放つ存在です。
「支援」というと、一見、公共性の色合いが強くなり堅苦しいイメージを持たれそうですが、アイドルやミュージシャン、アニメクリエイターなどにも門戸を開くなど、カジュアルさを併せ持っていることがCAMPFIREの特徴であり、それが支援者の裾野を広げている一因になっていのだと思います。

ボクは不思議に思いました。
大震災の寄付金ですら一時的な増額にとどまる日本で、クラウドファンディングが成長を遂げているのはなぜでしょう?

第二回に続く

 

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